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薄汚い日本人

■ 478■ 6月26日 2007

「うす汚い日本人」
 
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タイ人は案外におしゃれです


 今回の話題はチェンマイ在住の家人からのものです。

 最近チェンマイに在住している日本人が減っているような感じがします。と、いうのは、香港に所用があってリエントリービザ申請のため、イミグレーションに行きました。3ヶ月前申請したときはチェンマイが一番旅行者で賑わう3月だったので、イミグレーションは大混乱していました。

 今回も土曜日に行ったのですが閉まっていました。イミグレーションもローシーズンとハイシーズンで業務時間を割り振っている感じで、いかにも田舎のイミグレーションだと微笑ましく思いました。今年のハイシーズンの4月のソンクランは、大気汚染が世界中で大々的に報道された勢で、観光客は例年に比べて少なかったようです。

 申請用紙に記入をして提出し、しばらく待っていると、イミグレーションのカウンターの中に知り合いにた似た顔の人がいるではありませんか。

 まさかと思って注視したのですが、月曜日だったのでスタッフは全員黄色のシャツを着ています。そして、「Comming from Sweden、MR. Harry」と流暢な英語で名前を呼び上げています。まさか知り合いのE子さんだとは全く信じられない光景です。しばらくして自分の番がきました。カウンターに近づきよく顔を見ると、それはまぎれもなくE子さんではありませんか。日本人とタイ人はよく似た人が沢山います。

 手が空いたとみえてE子さんが近寄ってきていう事には「2ヶ月くらい前、主人の仕事の関係で日本領事館から頼まれてボランティアで、仕事をいている」という事です。

 事の成り行きはこうです。1年ぐらい前から、なんだか薄汚れた日本人居住者が増えているという感じはしていいました。ビーチサンダル、汚れた半ズボン、よれよれのTシャツ、それがまるでユニフォームのようにみえるほど彼らは共通点がありました。どうも、日本のテレビで「月10万円で暮らせる街」という特集があって、それにチェンマイも入っていたためこの種の日本人が街に溢れ出したという事です。

 しかし、日本人はどうしてあれほど小汚いのでしょうか。しばらく日本に帰っていないので、今の事情は分かりませんが、元々日本人は周りの目を気にする人種で、身だしなみにも結構気をつけており、チェンマイを徘徊しているこれら短パン、Tシャツ、ビーチサンダル族は、日本におれば浮浪者や、ホームレスに分類される人種と思われます。タイ人は、通常襟付きのシャツに長ズボンをはいていますので、きちんとした身なりに見えます。結構おしゃれなのです。それに比べて薄汚れた日本人はあまりにも惨めで、リタイアーした事だし、周りの目がある訳でもないので、何を着ていようがかまわない、という姿勢では、タイ人に対して失礼だと思います。

 それとも南国の太陽をいっぱい浴びて開放的になり、全く身の回りに無関心になってしまったのでしょうか。西洋人もチェンマイでも開放的な服装をしている人を見かけますが、彼らには身だしなみに無関心の人は少なく、普段は半ズボン、Tシャツでも、時々正装をして出かける隣人を見ていると、あれは溢れるばかりの南国の太陽を満喫するための服装と見えてきます。別段西欧人の肩を持つ訳ではありませんが、なんだか同胞が薄汚れていると、自分までが惨めになってきます。

 E 子さんの話では、あまりにも事情に疎い日本人が増えてきて、彼らは英語はおろか、タイ語も理解しないのでイミグレーションが困り果て日本領事館に相談したといいます。イミグレーションの提出書類はそれほど複雑ではないので、基礎的な英語で十分なのですが、それすらおぼつかない日本人がいかに増えたかという事の事実のようです。

 「老後をあたたかな南国で」というポリシーではなく、何となく日本を食い詰めてしまった人たちがテレビ番組を見て押し寄せたとしか理解しようがありません。しかし、ここにきて、タイバーツ高(それは信じられないくらいのレートになっており、タイの輸出産業は痛手を被っているといいます)、逆に円安(これもとどまる事を知らぬ具合です)のダブルパンチを受けて、10万円ではとても生活が立ち行かなくて退散を始めた人がいるといいます。(事実この1年でタイでの円は2割は目減りしている勘定になります)E子さんの話でも一時に比べて確かに分けのわからない日本人は減ってきたような感触があるといいます。

 考えてみれば、今時、月10万円で生活できる街はそれほどあるとは思えず、チェンマイでも普通の生活をしていても20万円くらいはかかります。それをさもチェンマイが安い生活費で極楽のように、ゴルフをしたり、カラオケを楽しんだり、時には若い女性との付き合いが出来きて、月10円で生活できるなどと、おもしろおかしく取り上げるマスコミにも多いに問題があります。またそれを何の疑いもなく信じてしまう日本人の、活字やテレビに弱い日本人の体質も問題だと思いますが、それを信じなくてはならない人たちも沢山いるという日本の現状の厳しさを見せつかられる思いもします。

 もう一つの問題は、タイ政府が外国人の締め付けにかかっている事も問題を複雑にしています。以前は隣人諸国に比べてタイのイミグレーションは比較的寛容でした。ノービザで入国しても90日の滞在が認められ、90日を過ぎると隣国のマレーシア、ラオス、ミヤンマーなどに出国し、再びタイに入ってきても新たに90日のステーを認められていました。だからその昔はそれを生業にしている「ビザ屋」などが存在して僕も初期のときはお世話になりました。

 これが年間を通じて90日を超える滞在は厳しく規制されるようになりました。比較的ルーズなタイのお役所仕事ですが、現に飛行場で捕まって罰金を課せられた人もいるようです。企業も問題に直面しています。赤字会社の外国人従業員には、ノンイミグランドビザの発給をしないということです。仕方なく増資をして急場を逃れる手当をした会社もあるようです。では、タイから外国人を追い出しにかかったのかというとそうではなく、55歳を過ぎたリタイアメントした年金生活者や富裕層はウエルカムという具合です。

 貧乏人はノットウエルカムというのが新しい政策のようです。現在リタイアメントビザ申請の条件は、55歳以上で年金の支給証明書か、預金残高80万バーツ以上が条件づけられています。情報ではそれを40万バーツに条件緩和する計画があるようで、一方ノンビザで滞在する人には300万バーツの預金残高を条件にするようです。政権が変わるとイミグレーションの条件も変わりますが、タイのケースはその動きが激しすぎると思います。前政権のタクシン時代は、リタイアメントビザの条件も年々緩和され、最初は3、4ヶ月かかったものが、4年目には1時間くらいイミグレーションに出頭すればその場でスタンプを押してくれるくらい簡単になっていました。

 オーバープレゼンスは問題をはらんでいますが、ある時期を境にしてうす汚い、行き場のない同胞が増える現実は困った現象ですが、これはほかの国も同様のようで、最近チェンマイには韓国人の姿を見かける事が多くなってきました。昔から韓国人は日本人の後を追いかけているといいますが、その人たちがチェンマイにも増えてきました。我がタウンハウスにも最近韓国人家族が引っ越してきました。今のところきちんとした身なりをしています。

 うす汚い日本人の出現は、国民性の問題ではなく、その人個人の意識の持ち方だと思います。そしてこの薄汚い格好の日本人をタイ人は軽蔑した目で見ている事も考えなければなりません。それにしてもだらしない服装で目立つ日本人の存在を座視していても良いものかどうか、これは最近話題になっている格差社会の具体例かな、と、ちょっと深刻に考えさせられる今日この頃です。
by newsaki | 2007-06-26 23:47 | 2007