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制服と、看板と


■ 479■ 7月6日 2007

「制服と、看板と」
 

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これが女子大生の正規の制服です



 以前から問題になっていた女子学生の制服を規制しようという気運があります。只でさえ小さめのサイズの制服を着て、体の線を強調する嫌いがあった制服ですが、規制の対象になるらしいです。

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こちらはセクシーすぎる着こなし


 どうも、新政府は規制を乱発する事が好きらしく、街の景観を損なう大型看板も近く規制されるようです。このメールマがでも再三取り上げていますが、タイの大型看板は規制されてもいい物の一つだと思います。きっかけは、先日突如としてバンコクを襲った昼間の突風にあります。

 僕は17階の事務所の窓から観察していたのですが、アルミサッシの狭い隙間を風が音をたてて吹き込んできます。突然吹き出した強風は、街に散乱するビニール袋を17階の高さの2倍くらいに巻き上げていました。それもかなりの数の袋でしたので、まるで白い鳥が大空を飛翔するような、優雅な様子を見せていましたが、街ではそんなのんきな事を言っておれないほどの災害をもたらしたようです。

 看板が強風に吹き飛ばされて、屋台で食事中の女性が下敷きになって死亡したというニュースがありました。大型看板と言っても、そのサイズは想像を絶するものがあり、新飛行場の付近にたてられた物は横幅40メートルになる巨大な物もあります。一体全体この飛行場の付近にたてられた看板、観光立国を標榜するにしては、首を傾げたくなるしろもので、外国人観光客がタイに到着して飛行場をあとにして初めて目にする光景が「Welcome Thailand, Samsung」ではここがタイなのか韓国なのかが判然としないし、その他の看板の大半が日本のメーカの物で、そこにはタイ国の存在が全く感じられないのが残念です。街なかでも無秩序に大型看板が取り付けられています。

 屋外看板はその国で勢いのある企業の顔でもありますが、進出企業の経済的な影響力、力のバロメータでもあります。長い間住んでいた香港のウオーターフロントの看板がその傾向を著実に表しており、仕事が広告関係であった事からも興味を引きました。僕が香港に住みだした1970年後半はほとんどの看板が日本企業のものでした。それが1988年ソウルオリンピックの時代は韓国企業の看板がかなり多くなり、それに時を同じくして、香港のウオーターフロントには高層ビル化されて広告看板の数も少なくなってきました。

 近代的な高層ビルの屋上にはネオンサインは不似合いという事でしょうか。しかし、それでも工夫を凝らした看板の開発は盛んで、3棟の隣接するビルの屋上をつないで、その幅がジャンボジェットの全長より長いというギネスブック級の大型看板まで出現しました。現在でもこの看板は日系企業のロゴが輝いています。

 他方、バンコクの看板はというと、昨年新飛行場がオープン、旧飛行場が閉鎖になり、広告価値が低くなったため、一斉に新空港付近に移動をしたという経過があります。その後、旧飛行場は国内線格安航空専用として再利用されていますが、付近の広告看板は空きが目立ってその栄枯盛衰を表しています。放置状態の物もあり、これは今回のように予期せぬ突風が吹いたりすると、突如として凶器に変わらないとも限りません。

 世界の都市では広告看板の規制をしている所が多く、シンガポールなどは街の景観を重要視し、広告看板は禁止している地区が多く、シドニーなども中心部には看板は見受けらません。日本はその点看板が多い国の一つでしょうが、そんなに無秩序にたっている感じはしません。それが香港やバンコクは規制がないとばかりに無秩序に看板だらけです。

 チェンマイはタイ北部に位置する歴史的な古都ということで、中心部では建物の高さ規制などして、それなりに街の景観を保とうとする気持ちがあるようですが、外環道路のスーパーハイウエーなどは重なり合うように巨大看板があります。バンコクでも新飛行場が出来た事を契機に、少しは景観を考慮した規制でも始めるのかと思いましたが、無秩序で看板だらけの道が街の中心部に伸びているというていたらくです。突風で死亡事故が発生、慌てて規制を始めるのもタイ的ですが、ないよりはなしという程度の効果しか期待できないのは今から簡単に想像で得きる結果です。

 他方、女子大生の制服に関しては、年中暑い南国ですので露出度が多くなるのは理解できます。しかし、超ミニスカートに胸がはち切れんばかりの小さなサイズのブラウスでは、これはセックスアピールを狙った服装と考えられ、男性の目の置き場所に困るのも事実です。乙女心は万国共通と見えて、より短いスカート、より体に密着したブラウスは世界の流行のようですが、中には度を超した学生も見受けられ、それが規制の発端になったようです。

 こんなコラムもあります。

「教育省、女子大生の制服規制に乗り出す」

 女子大生の制服のスリム化・ミニ化が進む中、教育省と文化省がついに本格的な指導に乗り出すことになった。

 教育省では全国の私立・国立大学に対して、過度に身体の線を強調するようなシャツ、ミニの上にスリットの入ったスカートなどを販売しているショップの情報を収集するよう指示。同省ではその報告を元に縫製業者に対して、「学生にふさわしくない制服の縫製を中止することへの協力を求めていく」(教育省関係者)考えだ。

 しかし、この方針については、ファッションへの過度の介入との批判意見も多い。女性支援団体の代表からは、「女子大生の服装をウンヌンする前に、遅々として進まぬ教育改革にもっと本腰を入れるべき」との意見が出ている。

 また、ある女子大生は、「別にショップでの販売を規制しても、特別に仕立るだけ」と話す。

 これまでに、国立大学では過度に露出度の高い服装を着用しないよう呼びかけているため、絶対数は少なくなったものの、それでも一部の学生の間ではいまだにセクシー度を競っているのが実情。これが私立大学になると、その傾向はより顕著となる。

 そのため、タイ字新聞ではコラムのなかで、「いったい、誰のために、何のために、制服を規制するのか。それをもっと明確に説明して女子大生の理解を得ない限り、今の流行を止めるめることはできないだろう」と評している。(バンコク週報)

 ゴルフの世界でも同様のようです。女子プロの試合を見ていると、丈の短いTシャツを着て、ショットのごとにヘソが丸出しになる光景がテレビに映し出されますが、僕は個人的にはあまり感心しません。何でも、シャツの裾をズボンの中に入れるのと、丈の短いシャツを着てお腹部分をルーズにするのとでは、体感温度にかなりの違いがあるようで、今の時期、アメリカ中南部などは相当な高温になるので、あのシャツも許されるという事のようです。

 では、男子プロはというと、これは長ズボンに襟のあるシャツ、裾はズボンの中に入れると決められています。男子プロの試合では半ズボンは許されません。ここまで男女でドレスコードが違うスポーツは珍しいと言わなければなりません。テニスなども最近はこの傾向が見られます。

 ゴルフ場にはドレスコードという物があって、それに違反するとプレーをさせてくれないクラブが世界中に沢山存在します、香港ではクラブハウスにも入れてくれない厳格さでした。もっとも、イギリス人の植民地から中国に返還された現在では、そのあたりも少しルーズになってきていると言いますが、それでも厳然としたドレスコードは存在します。日本のバブル時代には、ネクタイ上着着用というちょっと解釈を間違えてしまっているゴルフ場などが存在して、僕は面食らった記憶があります。

 タイではその点ドレスコードがルーズだと言う事をこれ幸いに、男子でもシャツの裾をだらしなく外に出したゴルファーを散見します。暑いからという理由は言い訳に過ぎないと思います。ルールに乗っ取ってマナーを守るのがスポーツの良さでもあります。

 そのほかでもタイはルーズさの極みにあり、ワンフライト6人というローカルルールが今でも現存します。仲間内で独特のルールを作って自分たちだけで楽しむというのであれば、世界的な秩序は保てません。暑いからといってルーズにするというのであれば、同じ南国のシンガポールはどうなるのでしょう。厳格なルールを細事まで守ろうというシンガポールにタイ人が行った場合はどうしているのでしょうか。

 最近、日本でも社会的ルールがかなりルーズになってきていると言います。このあたりで一人一人が厳格に自分の周りを見つめ直す時期に来ているのかも知れません。しかし、規制の多い国も問題があります。シンガポールはその最右翼で住んでいて胸苦しい気分になるという人もいます。その点からみるとタイは自由で住みやすい国だったのですが、新政府が次々と規制を発動し出すとタイの良さの気軽さが失われてしまうのではと、二律背反的な危惧をするのは僕だけではないようです。
by newsaki | 2007-07-06 23:46 | 2007